まず結論からお伝えすると、
円満退職をするためには、段取りよく、早めに準備をすることが大切です。
この記事では、転職をしようと考えているあなたに向けて、
薬剤師が円満退職するために確認すること、具体的なスケジュール・注意点をお伝えします。
私は薬剤師6年目で転職活動をし、円満退職をすることができました!
私の転職活動開始から退職までのスケジュールはこのような感じです。
スムーズに退職し、有給休暇もしっかりと消化するためには、たくさんのことを考える必要があります。例えば以下のようなことです。
- 退職のタイミング
- 転職先の選定
- 現職場との調整
- 後任者への引き継ぎ
こんなにやることがあるの!?転職って面倒くさい・・・。
転職をあきらめるのはちょっと待ってください!
スケジュールの見通しをもって、ゆとりある転職計画を立てれば、実行できますよ。
これから転職を考えている人は、自分が円満退職するには、
「どれくらいの期間が必要か逆算」をして、「転職活動の開始時期を計画する」必要があります。
自分が退職したい時期に合わせて、余裕をもった転職スケジュールを考えよう!
円満退職をすすめる理由は、退職後も薬剤師業界で働くから!
今の職場が辛くてやめようと思っているのに、円満退職を目指しても意味がない、と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、私は以下の2つの理由で円満退職をすすめます。
- 薬剤師業界の狭さ
- 有給休暇を消化しやすくなる
薬剤師業界の狭さ
薬剤師業界は、正直に言うと狭いです。出身大学でのつながりや、研修会や学会で外部の薬剤師とも関わりがあるため、良い噂も、悪い噂もどういった形で伝わるかわかりません。
自分の悪い評判を残さず、転職先でも居心地よく仕事をするため、たとえ退職する職場であっても、最後まで良い関係を保てるように努めましょう。
薬剤師としてこれからも長く働いていくからね!
また、これまで一緒に働いていた人たちは、あなたの貴重な人脈となります。
転職後に、「そういえば○○の分野が得意な人がいたな」「何かプロジェクトを協力してやりたいな」と思ったときに、思わぬ形で役立つ可能性があります。
せっかくできた人脈は、今後も生かしていきたいですね♪
有給休暇を消化しやすくなる
みなさん、有給休暇はしっかりと取得できていますか?
正直、最低ラインの5日間をとるのが精一杯という方も多いのではないでしょうか。
有給休暇は労働基準法で定められた、労働者の「権利」です。
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
引用:e-GOV法令検索 労働基準法
しっかりと取得せずに退職するのはあまりにもったいないことです。
正直に申し上げると、私も退職前の1月時点では、有給休暇が上限40日(2年分フル)で余っていました。
しかし、余裕をもって退職の意向を伝えたり、引き継ぎ業務を計画的に丁寧に行うことで、
退職までの3か月間で37日の有休を使用することができました!
労働者の「権利」とはいうものの、スムーズな取得のためには、職場に迷惑がかからないような配慮や段取りが欠かせません。
今回の記事で、円満退職をするためのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
【ポイント①】退職のタイミング
就業規則の確認
各会社で就業規則に「退職」について定められている場合があります。
例えばこんな感じです。
(辞職の手続)
第●●条 職員が辞職をしようとするときは、書面をもって理事長に申し出て、その承認を得なければならない。
2 職員は、辞職を申し出た後においても、辞職しようとする日が当該申出の日の翌日から起算して2週間を経過する日(以下この項において「2週間経過日」という。)前である場合は、当該2週間経過日までは引き続き勤務しなければならない。ただし、理事長が当該申出を承認した場合はこの限りでない。
このような記載の場合には、少なくとも退職の2週間前には申し出をしておく必要があります。
あなたが勤める職場の就業規則を守るのは、最低限やらなければならないことです。
ただし、この場合の「2週間」というのは円満退職をするためには、とても時間が足りません。
退職願を出して最短で2週間後に退職する場合といったような場合は、
急な病気や家庭の事情など、やむをえない事情で退職する状況が考えられます。
繁忙期は避ける
退職の時期として避けたほうがよいのは、下記のような繁忙期や人の入れ替わりが激しい時期です。
- 新年度はじめ
- 長期休暇前後(GW、年末年始)
退職の手続きをするには、自分の準備だけでなく、職場側との調整(後任者の決定、引き継ぎ業務)が必要です。
繁忙時期に退職予定とした場合に、やらなければならない退職手続きが円滑に進まない場合があります。
特に新年度初めは新卒者の入社や人事異動があり、忙しくなる時期です。
また、薬剤師として働いていると、GWやお盆、年末年始などの長期休暇前後は処方数が多くなったり、トラブルが増えたりして多忙になる傾向があります。
そのため、繁忙期に退職をするのは避けた方がよいでしょう。
ひこたろうの場合:年度末で退職しました。
私の場合は、年度末にグループ内で職場異動がある病院でした。
退職者の数によって、4月以降の人員配置が決定されるため、できるだけ早く退職の意向を伝えた上で、年度末に退職するのが望ましいと考えました。
「年内には職場へ退職の意思を伝えること」を目標とし、内定先を年内にみつけられるように、転職エージェントの担当者と相談しましたよ。
私の場合には、「2月や3月ではなく、4月入社の求人を探してもらいたい」と転職エージェントの担当者に伝えていました。
転職エージェントを利用する場合は、希望の入社時期をしっかりと伝えるようにしましょう!
【ポイント②】相談する相手の選び方
さて、内定先が決まったら、退職の意向について職場の上司に報告する必要があります。
ここで注意したいのは、この段階で、周りの人に退職が決まったことを言いふらしてはいけません。
仲の良い同期や後輩には、思わず伝えたくなっちゃうけどね・・・。
転職の噂が流れ、思わぬ形で上司の耳に入るのは、今後の退職手続きを円滑に行う上では避けたいことです。
相談すべき人:直属の上司
退職が決まった際には、まずは自分の直属の上司に報告しましょう。
このときに、役職を飛び越えて部課長に突然伝えるのは、マナー違反とされています。
ただし、あくまで世の中としてのマナーであるため、所属する施設の規模が小さい場合には、直接部課長に報告する場合もあるかと思います。
う~ん、私の職場の場合はどうしたら良いかなぁ?
迷った際には、以下のような方法をとりましょう。
- これまで転職していった先輩がいれば、退職手続きの流れをこっそり聞いてみる
- 転職エージェントの担当者にアドバイスを求める
私の場合は、転職エージェントの担当の方に相談しました。
相談してはいけない人:同僚、後輩など
転職活動中や、退職の意向を上司に正式に伝えるまでは、
同僚や後輩などの周りの人には、相談しないようにしましょう。
この理由としては以下のとおりです。
- 退職の噂が思わぬ形で上司の耳に入ると、良い印象を与えない
- 転職活動であることが分かると、仕事がやりにくい雰囲気になる可能性がある
転職活動は孤独な戦いなんだね・・・
言いたい気持ちは分かりますが、そこはぐっとこらえましょう!
親密にしていた同僚には、後日ゆっくりとお話する時間を設ければよいと思います。
【ポイント③】会社への報告方法 いつ・誰に・何を伝えるか
次の転職先が決まったら、すみやかに現職場へ退職の意思を伝えることが大切です。
これは、今あなたが働いている職場への気遣いでもあります。
一人薬剤師が抜けることが確定したのであれば、職場は新たな薬剤師を募集する必要があります。
そのため、できる限り早く伝えるのが良心だと思います。
薬剤師はどこも人手不足だからね!
報告する順番は、前述の通りに、直属の上司に報告した後に、部課長への報告が必要です。
その際には、「必ず聞かれること」、「伝えておいた方がよいこと」があるので、押さえましょう。
退職の意思
退職の意思は、ハッキリと伝える必要があります。
「退職をしようと思っている・・・、迷っている」という曖昧な言い方は避けましょう。
なぜなら、中途半端な態度では、引き留めに合う可能性があるためです。
また、あわせて以下の内容も伝えておくと、話がスムーズです。
- 退職時期「○月末日をもって退職させていただきたいこと」
- 年休消化予定「○月○日からは年休消化とさせていただきたいこと」
円満退職に向けたポイントは、
「しっかりと引き継ぎ業務を行った後に、退職や年休消化に入ることを考えていること」を伝えることです。
退職理由
退職理由は、退職の面談の時に必ず聞かれることです。
実際に私も薬剤部長に退職の報告をしたときには、以下のような会話をしました。
差し支えなければ、退職の理由を教えてもらえるかな?何か辛いことがあったかな?
いえ、現在の仕事は非常にやりがいがあるもので、貴重な経験も多く積ませていただいたと考えています。今回は、家庭と仕事のバランスを考えたときに、働き方を見直したいと思った私の事情により、退職を決意いたしました。
その結果、「女性の働き方はライフステージによって変わっていくからね」という好意的なお返事をもらい、退職の話はスムーズに進みました。
退職の報告をするときには、
「退職理由は何?」と聞かれたときの答えを自分の中でしっかりと作っておく必要があります。
具体的には、ポイント④で解説します。
【ポイント④】退職理由の伝え方
退職理由を相手に納得してもらうには、いくつかのポイントがあります。
最も意識することは、ネガティブな理由は言わない!
- ネガティブな理由は言わない(=不満はポジティブに言い換える)
- 現職場へのお礼の気持ちを伝える
- 前向きな理由を伝える(キャリアアップ、他の分野へ挑戦したい)
- 個人的な事情をまじえる(会社のせいではないことを強調する)
不満をポジティブに言い換えるってどうすればいいの?
例えば、こんな感じはどうでしょうか?
今の職場で働く人にとって、職場での不満を言われることは気持ちの良いことではありません。
本当の退職理由は職場への不満だったとしても、
それをありのまま伝えてしまうと、場の雰囲気を悪くしてしまうと思いませんか?
ぜひ、不満はポジティブに言い換え!をやってみてください。
「例文」ひこたろうの場合の退職の伝え方
実は、3月末で○○病院を退職させていただきたく思っております。
○○病院では、新卒のころからお世話になり、現在ではやりがいのある仕事も多く任せていただき、日々楽しく、充実した仕事をしておりました。⇒不満はポジティブに言い換え💡
しかし、昨年結婚したこともあり、今後の出産などのライフイベントを考えたときに、自分の働き方を一度見直すタイミングであると思いました。⇒自分の事情による退職であると強調💡
家族とも相談して、このような結論にいたりました。
パートナーがいる場合には、最後に「家族とも相談して決めました」ということを伝えると、納得してもらえることが多かったです。
【ポイント⑤】引き継ぎは計画的に、丁寧に行う
転職先が決定した薬剤師にとって、最後の大きな仕事は、自分が不在となったあとも業務が滞らないように、退職の準備をすることです。
「立つ鳥跡を濁さず」というように、しっかり自分の仕事を引き継いでから職場を去りましょう。
お世話になった職場に迷惑がかからないよう、最後まで誠心誠意、仕事をする姿勢が円満退職にもつながります。
引き継ぎ時にやること
引き継ぎ時にやることは以下のとおりです。
- 後任者決定
- 引き継ぎのポイントを文書・マニュアルでまとめておく
- 後任者への引き継ぎ
- 外部部署への連絡やあいさつ周り
- 疑問点があった際に確認できる期間を設ける
後任が決まるまでは時間がかかる可能性もあります。
自分の業務の棚卸しやマニュアル作りは進められるため、退職間際になって焦らないように、隙を見てやっておきましょう!
退職のように、いつか自分が不在となる時に備えて、日頃から
「自分だけができる業務」を意識的に減らしておくのも大切です!
引き継ぎに必要な期間
引き継ぎは通常業務と並行しながら行っていくため、自分の業務負担だけでなく、引き継ぎ先の相手の負担にもなることを忘れてはいけません。
短期間で、仕事を押しつけるような形にならないためには、
十分な引き継ぎ期間として、1〜2ヶ月みておく必要があります。
業務を引き継ぐ側の気持ちや負担にも配慮が必要なんだね。
有給休暇をとるのは、引き継ぎ終了後
基本的な考えとして、まとまった有給休暇をとるのは、引き継ぎが完了した後となるでしょう。
私の場合には、引き継ぎは2ヶ月かけて行いました。
引き継ぎをしながら、スポット的に有休を消化し、すべての引き継ぎを終えたところで、1ヶ月まとまった年休消化に入りました。
事前に計画を立て、周りの人に相談しながら引き継ぎや年休消化を考えていたこともあり、
周囲の理解も得やすかったです。
【まとめ】円満退社をするために、計画的にスケジュールを立てよう
さて、長くなったのでまとめます。
円満退社をするための5つのポイントは、
- 退職のタイミングを考えておく
- 相談する相手を選ぶ
- 会社への報告をいつ・誰に・何をするか
- 退職理由の伝え方に注意
- 引き継ぎは計画的、丁寧に行う
でした。
これで円満退職をするためのやり方はわかりましたね。
まず始めにやるべきことは、
「いつ退職するか考える」
「退職希望日から逆算して、転職活動の開始時期を決定する」
となります。
それでは、この記事を読んだ方が、円満退職を大成功させることを願っています!
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